リゼロ原作小説12巻2章「地獄なら知っている」あらすじネタバレ
エミリアに抱きかかえられながら出てきたスバルを見て、心配していたラムが、いつも以上にスバルをからかいます。
また、スバルはガーフィールの出方を心配しましたが、無事に出てこられて良かったと、ガーフィールも笑顔で二人の帰還を歓迎しました。
ガーフィールは「スバルから魔女の瘴気がする」ことを理由に、3週目の世界ではスバルを囚えるまでしていました。しかし、この時点では、魔女の残り香が強くなっているスバルに対し、朗らかな表情で、無事に戻ってきたことを喜んでいます。
この時、スバルは、自分の頭の中に、サテラの影の中で混濁して混ざり合った他者の記憶の欠片があることに気付きます。
精神的ショックの薄いエミリア
スバルは、エミリアの様子がこれまでの周回の中で、一番良さそうなことに驚きます。
- スバルを慰める行為が、エミリアの精神的安定にも役立ったことに複雑な気持ちになる
- エミリアは、試練後のリューズの家での話し合いにも前向きに参加する
- 話し合いの最後に、明日の試練への挑戦の意気込みを語り、スバルが拍手する
前のループで、オットーがスバルのあまりに冷静な状態を見て不安を感じていました。「落ち着いているように見えること」と「冷静である」ことには、深い溝があるという発言の件です。
過去3回のループで、エミリアは墓所で目覚めた後、涙を流しながら激しく動揺しています。今周では、自分のことに目が行く前にスバルを心配したため、表面的なダメージは薄れています。しかし、それがエミリア自身の心の傷の回復に至っているということではありません。
ラムにガーフィールの足止めを頼む
リューズの家での話し合いの後、スバルはラムに対して二つのことを頼みます。
- ロズワールとの会談の延期
- ガーフィールの足止め
ロズワールから「スバルに協力するように」と指示されているラムは、スバルの悪巧みに協力し、ガーフィールの足止めをすることを了承します。
そして、スバルが建物から出て行った後、指笛でガーフィールを呼び出しました。
指笛でガーフィールを呼べる、それがラムのものだと聞き分けられる、というのは凄い関係ですね。
他者の記憶を頼りに囚われていた建物へ向かう
スバルは、サテラの影の中で混濁した時に得た「他者の記憶」を頼りに森の奥へ進んでいきます。
そして、ガーフィールによって囚われていた、異臭のする白い建物を見つけ、中に入りました。
- スバルは、自分が囚われていた部屋まで行く
- 壁の不自然なくぼみに、フレデリカの青い輝石をはめ込む
- 輝石が光り、目の前の壁が消失する
- 隠されていた部屋の扉が出てくる
- 隠し部屋に入ると、中でリューズ似の少女が眠っている魔水晶を見つける
魔水晶を見つけたタイミングで、入り口の方からリューズの声が聞こえてきます。
リューズは、建物の監視をしていた複製体に呼ばれていました。「半日で聖域の秘密をスー坊に暴かれるとは思わなかった」と話します。
そして、スバルに対して「強欲の使徒には逆らえない。それが、リューズ・メイエルの複製体であるワシらの契約」だからと告げました。
リューズ達の謎
スバルとリューズ、そして建物の見張りをしていて、スバルが「ピコ」と名付けた1体は、聖域の外れにある人気のない建物の中に入り、話を始めます。
- 魔水晶の中にいる少女は「リューズ・メイエル」。元々は普通の村娘だった
- リューズとピコは、リューズ・メイエルの複製体
- エキドナの特別な術式で魂とも言われる「オド」を擬似的に作り、オドがマナを纏って実体化させている
- 知識だけがあり、他には何もない空っぽの器
- リューズの個性は、長い年月をかけて獲得していった
聖域はエキドナの夢の実験場
リューズは、聖域全体が「エキドナの夢のための実験場」だったと説明を続けます。
- エキドナの夢は「不老不死」
- 空の器を作り、そこに魔女の魂を注ぎ込む
- しかし、リューズ・メイエルのオドの総量は、エキドナの魂を注ぎ込むのには足らなかった
- 最初の1体は強欲の魔女の力を持った別物となり、先々代のロズワールが苦労して処理した
- 注ぎ込む魂の総量を調節する研究を開始したところで、サテラに敗北した
スバルは、エキドナが「不老不死」を目指していたことを聞き、なぜあれ程までにスバルに好意的に接してくれていたかを理解します。
- スバルは、ループをエキドナに打ち明けることができたとき、心から救われた
- 恐らく、エキドナがスバルと初めて出会った時、同じ運命に抗うスバルの存在に、同類との出会いだと歓喜した
エキドナの夢の結果
リューズは、エキドナがサテラに敗北した後の話を続けます。
- 魔水晶は自動でマナを取り込み、必要な量が貯まれば新しい個体を排出する
- そのため、聖域にはどんどんリューズ・メイエルの複製体が増えていった
- 今は、「聖域の目」として、聖域の安定のために動いている
- 聖域があったことで、救われる命も多くあった
- だから、自分達の役割に対して、リューズたちは満足している
また、リューズは最初に生み出された4体のうちの1体で、増えていく複製体を管理するために、知識以外にも人格を与えられたと説明します。
「聖域の目」の謎が明かされました。3周目のループでは、逃走するスバル・ラム・オットーを見つけたのは「聖域の目」にかかったからだと説明していました。これは、森に散らばるリューズの複製体の監視網に、スバル達の動きがかかった、ということでした。
ドナ茶で強欲の使徒になっていた
スバルは、ここまでの話を理解し、改めてリューズに「強欲の使徒」について聞きます。
リューズは、強欲の使徒とは「複製体の指揮権を持つ者」だと説明し、今もスバルからは強制力を感じると伝えます。
スバルには、エキドナの使徒となった記憶はありませんが、「ドナ茶」のことを思い出し、リューズが間違いなくそれだと肯定しました。
そして、4周目でガーフィールが複製体を指揮してサテラと戦ったことから、ガーフィールも「強欲の使徒」であり、かつエキドナとの誓約は「聖域を守ること」だと判明します。
ガーフィールがエキドナから何をもらい、対価として何を差し出したかは分かりません。しかし、茶会に呼ばれ、ドナ茶を飲んで強欲の使徒になったことは明らかになりました。
リューズのお願い
スバルは、リューズにここでの話は一切ガーフィールには話さないようにと、強欲の使徒としての命令を使ってまで、お願いをします。
また、去り際に、リューズの家名が「ビルマ」であることを聞くと、リューズは、「嫌でなければ、同じ質問をワシにしてくれんか。また明日以降に。」と儚い微笑みでスバルを見送りました。
リューズが、なぜ明日以降またビルマと呼んでほしいと伝えたかは、物語が進んでいくと明らかになります。
月夜の下でエミリアと出会う
スバルは、寝床のある大聖堂に向かう途中、エミリアと出会います。
エミリアは、昼間は明るく振舞っていましたが、試練への不安から眠れず、月夜の下で散歩をしていたところでした。
- エミリアに対し、スバルは困難から逃げずに立ち向かうエミリアを、心から尊敬していると伝える
- エミリアは、胸元の結晶石を触りながらも、すごく勇気がもらえたと喜ぶ
エミリアは、「本当はここにパックがいてくれたら、、」という言葉を飲み込んでいました。
エミリアの心の拠り所の一番はパックであり、この時点でもそれは変わっていません。
スバルを心配するオットー
深夜の大聖堂は、アーラム村の人々が雑魚寝で眠りについており、スバルは自分に用意された寝床のスペースに向かいます。
スバルの隣には、帰りの遅いスバルを心配していたオットーがまだ起きていて、帰ってきたスバルを見て安心したような表情をしています。
オットーは、「何かあれば話を聞きますよ」と、協力する姿勢を見せますが、スバルはオットーの優しさを感じながらも、友人を巻き込めないと、3周目のことを思いながら、自分一人で立ち向かう決心をします。
スバルは、エキドナとの二度目の茶会の際、嫉妬の魔女に授けられた権能は、自分以外の他者を考慮に入れないと説明されています。それは、誰かを犠牲にして運命を打開した場合、その犠牲は戻ることがなくなる、ということを意味しています。
そのため、スバルは「自分一人が何度でも傷ついて運命を打開する」という考え方を持つようになりました。
夜明け前、スバルは単独でロズワール邸に向けて発つ
数時間だけ仮眠をとったスバルは、夜明け前にパトラッシュに乗ります。
エミリアには手紙を残し、状況と対策方法が不明確なロズワール邸に向け、ループすることを前提に出発しました。
順調に進んでいきますが、結界まで後少しのところで、ガーフィールが目の前に現れます。
ガーフィールとの遭遇
スバルは、予定外の遭遇ではあったものの、この機会を活かそうと、ガーフィールの起爆ポイントを探ります。
- ガーフィールの魔女の瘴気を嗅ぎ分けられる話は怪しい。なぜ墓所から出てきた時に行動しなかったか
- 夜明け前に出た自分を見つけられるのもおかしい。常時監視する目があるみたいだ
- リューズ似の女の子を森で見かけた
ガーフィールは、三つ目の話で我慢が限界となります。
しかし、途中でスバルの目論見に気付き、スバルを投げ捨て、命をかけて試そうとするなんて狂人としか言えないと吐き捨てます。
スバルは、ガーフィール攻略の手掛かりが得られるのであれば、ここでループしても構わないと考えています。その異常性はロズワールに似ており、ガーフィールはロズワールの目とそっくりだと評しています。
力では全くスバルはガーフィールに全く及びませんが、この狂気により、ガーフィールを怖気させることになります。
ガーフィールは、聖域に悪さをしない保証を求めますが、スバルは「エミリアを裏切らない。聖域にも敵対しない」と、ただ信じろと言います。
そして、スバルが聖域を出ることを黙認したガーフィールを置いて、スバルはパトラッシュと共に聖域を出ました。
リゼロ原作小説12巻2章の考察、ネタバレ解説
ガーフィールがループしたばかりのスバルを優しく出迎えた理由
墓所の遺跡の外でガーフィールがスバルが無事に戻ってきたことに喜んだ理由は次の通りです。
- 過去に躓いた同志として共感している
- ガーフィール自身はスバルから魔女の瘴気を感じることができない
ガーフィールも過去に墓所の遺跡の中に入った経験があり、そこで自らの過去を前に膝を屈しています。
また、スバルから「魔女の瘴気」が溢れることでガーフィールは敵対感を強めていきますが、ガーフィール自体は魔女の瘴気を嗅ぐことができないため、スバルの違和感に気付くことができません。
リューズが「家名」を聞いてくれと言った理由
リューズがスバルに「家名」を聞いてくれと言ったのは、聖域のまとめ役として活動するリューズが自分以外にも存在するからです。
そのことをスバルに教えるため、「家名」を聞いてくれとお願いしたのでした。