リゼロ原作小説12巻4章「死の意味」あらすじネタバレ
スバルが墓所から出ると、外では猛吹雪が発生していました。
吹雪の強さ、自分の怪我の状態を考慮すると、スバルは独力で集落にたどり着くのは難しいと考えます。フレデリカから預かった「輝石」をさすって強欲の使徒の権限を使い、建物周辺の監視を担当しているピコを呼びました。
ピコに集落までの道案内を頼むと、ピコは表情を変えずにスバルに背を向け、集落に向けて走り出します。
スバルは、この現象にエミリアが関わっていると考えています。
人気のない集落でガーフィールと遭遇
1時間以上の時間をかけ、スバルは聖域の集落にたどり着きます。
しかし、どの家も灯りが消えており、人のいる気配がしません。
スバルは、既に多兎が集落に現れた後かと不安になりましたが、そこにガーフィールが姿を現しました。
- オットーの提案で、アーラム村の村人・聖域の住民共に大聖堂に避難
- エミリアは昨晩墓所に入ったきり戻ってこない
- スバルが聖域を出るとき残した手紙の存在をガーフィールが知らない
二人は、エミリアと猛吹雪に関係があると考え、墓所の遺跡に向かいます。
道中、ピコがスバルに付き従うのを見て、ガーフィールはスバルが強欲の使徒となっていることに気づきます。
そして、「ピコ」と名付けることをスバルに止めるよう勧告し、本物はリューズで、リューズ以外はいらないのだと言いました。
ガーフィールのリューズに対する強い思い入れが明らかになっています。フレデリカの話で、ガーフィールがかつて墓所の試練に挑んだとき、助けてくれたのはリューズでした。そこからガーフィールの態度が変わりますが、どのような思いをリューズに抱いているのかは、まだ詳しくは描写されていません。
エミリアが墓所で「病みリア」に
スバルが墓所の遺跡の奥に進むと、一番奥の石室が青白く光っており、そこにエミリアがいました。
エミリアは、すぐにスバルに気付き、近くに駆け寄ってきます。スバルは複雑な感情を持ちながらも、安堵し、倒れこみます。
倒れ込むスバルをエミリアが優しく抱きしめ、話を始めました。
- 寂しかった
- ずっと信じてた
- スバルは必ずきてくれる
- すごく怖くて不安だった
- ずっと一緒にいてほしい
- スバルがいれば他に何もいらない
- スバルが大好き
エミリアは、異常な朗らかさで、スバルに愛を伝えます。
エミリアは、パックもスバルもいなくなり、住民からの重圧を浴びながら、昨晩から何度も何度も一人で試練に臨んでいました。繰り返される絶望の中、ついに精神が壊れ、スバルに極度に依存する通称「病みリア」に変貌しています。その姿を見て、スバルは愕然としていました。
また、スバルが聖域を出るときに残した手紙の存在をエミリアは知りません。ここから、誰かがエミリアを意図的に追い込んだことをスバルは理解します。
墓所の外での悲しい言い争い
スバルは、寝ずに試練に挑んでいたエミリアを寝かせ、一人で墓所の外に戻ります。
一人で戻ってきたスバルを見て、ガーフィールは怒りますが、スバルも怒ります。
- エミリアが自分のことを好きだと言う
- エミリアが自分を好きだなんて言うわけないだろうと怒る
- パックがいれば、自分がエミリアの一番になる訳ないんだと怒る
そして、エミリアに置いた手紙を誰かが隠したことを共有し、この状況を作った人物がいると話します。
- 手紙を隠し、エミリアを精神的に不安定する
- 猛吹雪を降らし、住民からの懐疑の目をエミリアに向けさせる
- ガーフィールからの疑いの目を、エミリアに向けさせる
- エミリアが試練から逃げられないように追い込んだ
エミリア以外で聖域に猛吹雪を降らせられる魔術師は一人だけ、それはロズワールでした。
ロズワールの狂気がラム・ガーフィールを襲う
スバルとガーフィールは、ロズワールとラムのいる部屋を訪れます。
そして、スバルが質問をします。
- 「この雪を降らせているのはロズワールか?」とスバルは聞く
- 「それは、私から聞いたのかね?」とロズワールが返す
- スバルが予想外の言葉に驚くと、それをみてロズワールが落胆する
ロズワールが落胆しているということは、ロズワールにとっては現状が、自分の望む状態に到達していなかったということになります。
ロズワールが雪を降らせていることを否定しなかったため、ガーフィールが臨戦態勢に入りますが、ラムがロズワールとの間に入り、ガーフィールを止めます。
しかし、ロズワールによって、ラム、ガーフィール共に敗れて倒れます。
ラムに対して「約束は違えない。私は、君にこの魂を捧ごう」と話し、ラムは陶然とした表情をして眠ります。
ロズワールとラムの契約内容に初めて触れられました。魂を捧げることが契約内容だとしたら、その発動条件はラムの敗北なのでしょうか?そうなると、死後の世界があることを前提とした契約内容になりますね。
また、ロズワールは体術にも優れており、ガーフィールは最終的にロズワールの蹴りに敗れます。
このことから、スバルがロズワールに戦いを挑んだとしても、勝てないということが分かります。
ロズワールはスバルの「ループ」を知っている
ロズワールは、ラムの犠牲とガーフィールの排斥は、スバルとゆっくり話すのに必要だったと言ってのけます。
今、スバルが掴みかかってこないのは、スバルが取り返しのつく犠牲だと割り切っているからではないかと、暗にスバルが「ループ」していることを知っていると伝えます。
スバルはエキドナとの茶会で、「自分を犠牲にして他の全員を助ける」ことを決意しています。
最終的に全員が助かる未来に到達することができるのであれば、そこに至るまでのループで発生する犠牲は許容せざるを得ないとも考えているのが今の状態です。
聖域を出発する際、ガーフィールと遭遇していますが、もし、自分が敗れれば、ロズワール邸の襲撃・多兎の出現が起こり、全員がどうなるかにも気づいているにも関わらず、即座に今周回はガーフィールの情報収集に当てることを判断し、危険を冒してガーフィールを挑発していました。
この精神性にガーフィールは怖気付き、ロズワールに似ていると表現しました。それがもう一度現れたのがこのシーンです。そして、ロズワールはこのスバルの変化を喜ばしいと感じています。
そして、枕元から「叡智の書に最も近い本」を取り出して、スバルに見せ、自分の目的を話します。
- ロズワールは叡智の書に記されている未来を実現したい
- その道筋から外れた場合は「修正」を実行する
- 叡智の書によりスバルが何らかの方法でループしていることは理解している
- そのため、スバルを追い込み、この世界を終わらせようとする
ロズワールはスバルをループさせようと、スバルへの行動を開始します。
しかし、突然手を止め、部屋の窓に対して火の魔法を放ちます。そこには部屋に飛び込もうとしていた多兎の一匹がいました。
猛吹雪を降らせたのはロズワールですが、ロズワールはなぜ多兎がここに集まったのかは理解していません。
多兎の習性については、二度目の魔女の茶会で明らかとなっています。
スバルは、ロズワールがエミリアへの手紙を取ったと考えていましたが、ロズワールも知らないような反応をしています。
エミリアは知らず、ガーフィール、ロズワールも犯人でないとしたら、残した手紙を隠した人は誰なのでしょうか。
ロズワールのアドバイス
ロズワールは対集団において右に出るものはおらず、多兎を殲滅することは可能です。
しかし、建物の外に出たロズワールは、多兎を喜んで受け入れます。
スバルに対して一つアドバイスをします。
「たった一つの大事なものを決め、それ以外の全てを手放し、削ぎ落とし、大事なものだけを絶対に守り抜く」
ロズワールは、全てを拾おうとするスバルに対して、エミリアを守ると決めたのなら、エミリアを守り、王にすることだけを考えろと言っています。
スバルは、全員の笑顔の未来のために自分を犠牲にすると決めており、他者の犠牲への許容を求めるロズワールの考え方とは相いれません。
似ている点は、目的のために犠牲を許容することですが、異なる点は、ロズワールが「大切なもの以外の全て」であるのに対し、スバルは「自分だけ」を犠牲にするという点です。
そして、スバルは勘違いをしていると言い、ロズワールはループしないと断言しました。
エキドナの研究で、器に魂を転写させる技術は完成しています。問題は、リューズメイエルの器が、エキドナの魂の容量に足らないことであり、その対処方法として、転写する魂の容量を調節する方法を考えていました。
ロズワールは、ここでループしないと断言していますが、過去からの記憶を引き継いでいる描写が多数描かれています。そのため、ループはしないまでも、ベアトリスが禁書庫で触れていた「最初のロズワール」の記憶を、400年以上引き継いで生きているのではないかと考えられます。
ロズワールは、多兎に無抵抗を貫きそのまま敗北します。
たどり着いた大聖堂は炎に包まれる
スバルは、避難場所となっている大聖堂を目指して走り出します。
強欲の使徒の権能を行使し、リューズの複製体に守ってもらいながら進みました。
しかし、最初に「ピコ」と名付けた一体が、自分を守って多兎の犠牲となった後は、迷うことなく複製体を切り捨てるようになり、かつてのガーフィールと同じ命令をして、ようやく大聖堂にたどり着きます。
スバルは、ロズワールのようにはならないと決めていましたが、ここでの複製体に対する行動はロズワールの行動指針と似ており、少しずつ近くなっていっていることが分かります。
大聖堂は燃えており、中にいた人々の決断をスバルは理解します。
スバルは、残り6体となった複製体に、墓所まで自分を守り、それが終わったら自由にしていいと命令し、エミリアのいる墓所の遺跡に向かいます。
エミリアとのファーストキス
遺跡の墓所に着いた時、スバルの周りには複製体の1体もいませんでした。スバルも、立っていられるのが不思議な程の深手を負っています。
墓所の中に入ると、奥の部屋にエミリアがいて、スバルの姿を見て可愛らしく近づいてきます。そして、スバルを膝枕で癒そうとします。
スバルが眠りにつく瞬間でさえ、エミリアはそれに気付くこともできません。
そして、スバルに対して初めての口づけをしました。
リゼロ原作小説12巻4章の考察、ネタバレ解説
ロズワールの異常性が極まる
ロズワールは、自分自身はループしないにも関わらず、撃退できるはずの「多兎」を受け入れる異常性を見せました。
それほどまでにロズワールが抱く「エキドナの完全な形での復活」にかける想いは強く、エキドナへの愛は深いこと分かりました。
スバルはロズワールのこの覚悟に対峙して、本当に乗り越えていくことができるのでしょうか。
エミリアがスバルの状態に気付かない理由
エミリアがスバルの状態に気付かないのは、「スバルが見えていない」からだと思われます。
エミリアは、一晩中墓所の中に入っており、その中で何度も何度も試練を繰り返していました。
繰り返される精神的磨耗によって崩壊してしまったエミリアは、「自分の見たいようにしか見ることができない」精神状態に陥ってしまったものと思われます。