リゼロ原作小説12巻5章「えんでぃんぐりすと」あらすじネタバレ
石畳の上で目覚めたスバルは、エミリアとのキスを思い出し、ノーカウントにすることを決めます。
そして、自分が聖域を離れると、エミリアが病みリアになると確認しました。
スバルは改めて、権能をフル活用して、自分が絶対に全員を救うことを決意し、エミリアを優しく抱き起こします。
ロズワールの考え方
スバルは、5周目の世界で明らかになったロズワールの真実について考えます。
- ロズワールは叡智の書を持っていた
- 叡智の書によってスバルの「ループ」に気付いている
- 発動条件は気付いていない
- 気付いていた場合、叡智の書の記述とズレた時点でロズワールは動く
- ロズワールの考え方は「本当に大切な一つのもののために、他の全てを削ぎ落とす」
- その考え方に従い、全ての犠牲を許容する
- ロズワールは、他の全てを捧げるからこそ、たった一つの大切なものを守れると考えている
そして、スバルは自分はロズワールのようにならないと考えます。
スバルの考え方
スバルの考え方は、権能を活用して、自分が守りたい全てを守ることです。
- スバルは、大切な人全員を必ず救うと決めている
- そのために、自らの権能をフル活用する
- 自分の犠牲は許容する
スバルのこの考え方には、二つの欠点があります。その点を指摘するのが、これから起こる第二の試練です。
スバルの決心は固いですが、二つの場所で展開されている複雑な状況に、自分一人では解決策を見いだせないと感じ、もう一度エキドナの知恵を借りたいと考えていました。
磨耗していたスバル
スバルの心は、悲劇的なループを繰り返したことでかなり磨耗しています。
そして、ロズワールのアドバイスに従うような行動指針で動いてしまいます。
必要だから | エミリアを優しく抱きおこす |
---|---|
必要だから | エミリアが落ち着くまで、包み込むように抱きしめる |
必要ないから | リューズ宅での話し合いが耳に入ってこない |
必要だから | エミリアの傷ついた心を慰め、優しく寝かしつける |
必要ないから | 呼び止めるラムの声を振り切り、建物に出る |
必要だから | 墓所の遺跡まで全力で走る |
「必要/不必要」で割り切るスバルの行動には迷いがなく、迅速な動きをするスバルを止められる人はいませんでした。
墓所の遺跡に到着したスバルは、奥の部屋でエキドナに茶会への招待を求めます。
スバルは意識が朦朧とする中、「ありうべからざる今を見ろ」という声が聞こえたような気がしました。
ありうべからざる今を見ろ「クルシュ邸」
そこにはスバルの体は実在せず、ただ意識だけが投影された世界でした。
- クルシュ邸のレムの寝台の横で権能を発動したスバル
- その姿を見て涙を流すエミリア
- エミリアが何度も「嘘つき」とスバルをたたく
- ヴィルヘルムとフェリスが今までにない真剣な表情で治療を行う
- ヴィルヘルムは無念さで激情を露わにする
- フェリスはスバルに皮肉を言いながら深く傷つく
- エミリアが、「好きって言ってくれたのに」とこぼす
スバルは、権能を発動をすれば、「時間が遡る」のだと無意識に考えていました。つまり、「なかったことにできる」のがスバルの権能だと考えていました。
しかし、今見た世界は、スバルが権能を発動した後の世界でした。
スバルの権能が「パラレルワールドへの移動」なのだとしたら、前提が崩れ、今までどれだけの人に悲しみを与えてきたのかと絶望します。
そして、自分にはこの試練は絶えられないと理解します。しかし、スバルの耳に声が響きます。
「ありうべからざる今を見ろ」
スバルは権能発動によって、時間が遡ると考えていたため、自分の権能によって傷付くのは自分だけだと考えていました。つまり、到達したい未来にたどり着くまで、権能を使い続けても、自分だけが傷付くだけで済むと考えていたのです。
権能発動後の世界を見せられたことで、その前提が瓦解します。
ありうべからざる今を見ろ「魔女教討伐戦」
横たわるスバルの体を、ユリウスとフェリスが沈痛な面持ちで見ています。
周囲には討伐隊のメンバーも来ており、スバルのために涙を流す者もいました。
エミリアは「どうしてスバルが自分のためにこんなに頑張ったのか」、返ってこない問いかけを続けながら、激闘の後が残るスバルの顔を、自分の手で拭き取ります。
ヴィルヘルムは無念さに沈み、ユリウスは「君を友と呼びたかった」と心の内を曝け出します。
聖域の遺跡の中に意識が戻ったスバルは、混乱し続けます。しかし、すぐにまた声が聞こえます。
「ありうべからざる今を見ろ」
ありうべからざる今を見ろ「ロズワール邸」
ロズワール邸での4周目。崖の下で横たわるスバルを見て、ラムが怒りの表情で「本当に救えない」と言い捨てます。
ベアトリスは、スバルが「その人」ではないと分かったいたけれど、と涙をこぼします。
ベアトリスのスバルに対する期待は、スバルが「その人」なのではないかと考えていたことだと分かります。
ありうべからざる今を見ろ「パック vs ラインハルト」
白鯨・魔女教徒討伐戦の3周目。永久凍土の終焉の獣と化したパックの前に、ラインハルトが立ちはだかります。
ラインハルト | ・状況は概ね理解している ・自分は正しさの規範 ・パックの行動を許容することはできない |
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パック | ・エミリアとの契約により、世界を凍土の下に埋める ・ラインハルトには勝てないと分かっている ・契約のため、命が尽きあるまで足掻くと宣言する |
パックはラインハルトの龍剣に敗れ、「お前は英雄だ。英雄にしか、なれない」という言葉を残して消失します。
「英雄にしかなれない」という言葉は、英雄以外の立ち位置が求められる状況においても、ラインハルトは英勇という立場の上にしか立てないという意味にも取れます。今後スバル達が、例えば世界を終わらせる立場に立ったとき、世界を維持する立場に立つラインハルトと激突するようなこともあるかもしれません。
悪夢の後にレムが現れる
その後、スバルは9回「ありうべからざる今」を見せられ、これまでの権能発動後の世界を突きつけられます。
スバルは己の行いに絶望し、狂気に砕かれる間際、墓所の石室にレムが現れました。
- レムが優しく笑いかけて優しくスバルを抱きしめる
- レムとスバルらしい会話を繰り返す
- スバルは一瞬にして絶望の淵から心が救われる
- レムが、全て自分に預けて、今はゆっくり休んで寝てくださいと話す
スバルはここでレムを突き放し、「お前は誰だ」と言います。
スバルにとってのレムは、スバルの弱さを全て受け入れながらも、最後の最後でスバルに諦めることを許しはしない厳しさを持っています。
レムならば、「眠ってください」ではなく、「さあ立ってください」と言うはずだ、と返しました。
色欲の魔女「カーミラ」が現れる
レムの姿から、違う容姿の可愛らしい女の子の姿に変わり、おどおどとした表情でスバルを見つめています。
女の子は、自分を「色欲の魔女」カーミラだと名乗りました。
- エキドナには「ただ甘やかせばいい」と言われていたのに、話が違うと言う
- スバルはレムの姿を真似したことに激怒する
- カーミラは、スバルが見たものは、スバルが見たかったものだと説明する
なおも収まりがつかないスバルを見て、エキドナが三度目の茶会に招待しました。
三度目の茶会へ招かれる
茶会に呼ばれたスバルは、自分が息切れしていたことに気付きます。
エキドナは、カーミラの「色欲の魔女」の権能「無貌の花嫁」は、息することも忘れさせるものだと説明しました。
落ち着いたスバルは、エキドナを睨み、レムの姿を真似するように指示したことに怒りを表しました。
リゼロ原作小説12巻5章の考察、ネタバレ解説
スバルが権能を発動した世界は続いている?
スバルが権能を発動した後の世界が続いているかは、現時点では明確には言及されていません。
下記からはネタバレ考察をしていきますのでご注意ください。
プレアデス監視塔で登場した「魂の回廊」によって、オド・ラグナは世界を外側から観測していることが分かりました。
もしも世界が複数存在しているパラレルワールド説が正しいのであれば、スバルの「死者の書」の中に、スバルの知らないスバルの「死者の書」が存在していないと整合性がつきません。
このため、スバルが権能を発動した後の世界は続いておらず、そこで世界は終了となり、オド・ラグナに記録されている少し前の世界に「ロード」し、ロードした世界のスバルの魂に、ロード前のスバルの魂を上書きしているものと思われます。
ラインハルトが自分を「正しさの規範」と定義づける意味
ラインハルトがパックに対した際、自分を「正しさの規範」と定義しました。この発言の理由は次の場合が考えられます。
- 王国の近衛騎士としての立場
- 「剣聖」としての立場
- フェルトの騎士としての立場
- ラインハルトの本来の資質
ここからはネタバレ考察となりますのでご注意ください。
ラインハルトは幼少期、ハインケルの言いなりとなって過ごしていた暗黒期がありました。
また、ユリウスが少年時代に出会ったラインハルトは既に自己が完成されていたと言及されており、何かしらの形で暗黒期を乗り越えたことが明らかとなっています。
この時の乗り換え方として、自分の在り方を「正しさの規範」と定義づけた可能性があり、それは抱えすぎた自らの圧倒的な力の取り扱い方を自らに定めたと捉えることができそうです。
ラインハルトの異常性は「剣聖」だけに留まらないため、一人で世界を揺るがしてしまう程の力を秘めていることは間違いないでしょう。